2017UTMB参戦記④クールマイヨール~シャンペ

Courmayeur~Arnouvaz



Courmayeurクールマイヨールを出た後はしばらくロードの登り。
パワーウォークで進む。
Courmayeurクールマイヨールから次のエイドArnouvazアルヌーバまでは、想定で一番エイド間の所要時間がかかる区間。
想定では4時13分。
距離17kmで累積標高は1200m程度。


確かこのチェックポイントあたりから天候が崩れだした。
クールマイヨールを出るころには晴れ間が出ていて暖かかったのに、どうも空が暗くなってきて、嫌に冷たい風も出てきた。
あと、このあたりで知り合いのマルさんと会う。
彼は足首がやられたとかで、もう完走目標に切り替えているのだとか。


Arnouvazアルヌーバには9/2 14時23分到着。
この区間はクールマイヨールでの仮眠があったので、トータルで約2時間遅れとなった。

Arnouvaz~Grand Col Ferret

Arnouvazアルヌーバから先はいよいよGrand Col Ferretフィレ峠だ。
フィレ峠は標高2500m以上、イタリアとスイスの国境でもある。
アルヌーバからフィレ峠までは4.5kmで累積標高が754mと登りの区間。


登りの途中、いよいよ雨、というかヒョウが降ってきた。
急いで、上にゴアテックスのトレントフライヤー、下にバーサライトパンツを装着する。
首にはBuffを装着して口も覆った。
上着の中にはパタゴニアのキャプリーサーマルウェイトも装着。これでほぼほぼ最大に着込んでいる状態に。

風が強く、わずかに出ている目から鼻の部分にヒョウが当たって痛い。
手袋をしていたが、かじかんでしまっており、補給がおろそかになる・・・。
登りでエネルギーがいるのに、補給が出来ない、、これはダメなパターンだ。
そしてまた眠たくなってきた・・・。
フラフラになるのが予想出来たけども、気力がなく、ただただフィレ峠を目指してユラユラと登ることしか出来なかった。
気付けはヒョウは雪変わって吹雪となっていた。

9/2 16時9分 ようやくフィレ峠に到着、トータルで約2時間30分遅れ。
ここからはスイス。
写真を撮りたかったけども、風が強く、とにかく寒かったので、そんな余裕はなかった。
一刻も早くここから立ち去り、下りたい感じ。

Grand Col Ferret~La Fouly

セーニュ峠からの下りでは目が冴えて体が動いたけども、フィレ峠からの下りは全然ダメ。
パワー切れと眠気でフラフラ。

そんな感じで歩いていたフーリのエイド手前、「おーい」と声をかけられる。
日本語?誰だろう、と顔をあげてみると、TDSに参加していたヨシロウさんの姿。
ああ、自分の酷い情けない顔を見られたなって思う(^^;)
ヨシロウさんは奥さんのタムマユさんのUTMBサポートで来ている。
で、このフーリあたりから時間帯が被った模様。
色々と励ましてもらい、少し気持ちが楽になるも、やはり完走が見えない・・。


9/2 17時54分 La Foulyフーリに到着。トータルで予定から約2時間21分遅れ。
ここは意外にもフィレ峠から少しだけだが、遅れを取り戻していた。
予定時間の見積もりが甘かったか、思っていたよりも動けていたのかも。

La Fouly

La Foulyフーリのエイドではすっかり戦意喪失・・・。気分は最悪だった。気付けば左足首がやられていて、腫れつつある。
これは捻ったとかではなく、自分の癖からくるもの。前脛骨筋とかが関係しているのかな?
フーリは約110km地点、UTMBは100マイル(約160km)といいつつも、約170kmある。
「残り60km・・・」
今のこのノロノロスピードと壊れつつある脚、それらを考えると、とても絶望的だった。

とりあえずご飯を食べないと・・・・と無理やりにでもエイドのご飯を食べる。
もうすっかり飽きてしまった(^^;)しょっぱいスープパスタ。
その後、トイレに行く道の途中で気持ち悪くなり、全てを戻してしまう・・。
自分は吐き気はしょっちゅうあるけど、吐くことは珍しい。

リタイアを真剣に考える。
UTMBというもう二度と来れないかもしれない舞台、それは重々承知している。
けども、ロキソニンとか、風邪薬とか、エネルギードリンクで身体を誤魔化しながら得るフィニッシュに意味があるのか?
結局、ここまでの実力だったんじゃないのか。
色々と葛藤。。
確か、このエイドではテーブルに座って仮眠。

起きたら寒い、寒くなるのは分かっていたけども。
あるものすべてを着込む。
使うことはないだろうと思っていた必携品のニット帽も被った。必携品ナイス!と思った。
エマージェンシーシートも身体に巻きつけた。
気付けばタムマユさんが到着していた。

La Fouly~Champex-Lac

気持ちに迷いはありつつも、とりあえず、フーリのエイドを出ることにした。
エイドを出るときにヘッドライト装着の確認あり。
「いよいよ2晩目か・・・」と憂鬱になる。

しばらくトボトボとロードを歩いていると、ヨシロウさんの姿。
ホッカイロを頂く。それをお腹に貼るととても暖かい・・。
とても有り難かった。


フーリからChampex-Lacシャンペまではロードが多かった記憶。


暗くなった20時30分ごろ、どこかの街中を走っていたら、
「ジ カフェ!ジ カフェ!」
と、子供の声がする。
なんだろうと見てみると、ドリンクの私設エイド。
小さなテーブルにホットコーヒーやティーなどが並べられ、そのテーブルを囲むように子供たち。
そんなに喉は乾いていなかったけども、その一生懸命に応援する姿に、ちょっとでも寄っていくのが礼儀だろうと勝手に解釈し、お世話になることに。
ホットコーヒーを頂いた。暖かくて美味しい。
メルシー!とつい最近覚えたフランス語を話して、伝わったかは分からないけども、その場を立ち去った。
そういえば、この頃、また雨が降っていて気分が落ちていたのだけれども、子供たちによって励まされた。
最後まで景色見て、また子供たちに応援されたいなー、やっぱり、、完走したい!とか思う。

Champex-Lac

9/2 21時50分 約124kmのエイドChampex-Lacシャンペに到着。
フーリ~シャンペ間は遅かったらしく、この区間で予定から約1時間遅れ、トータルでは3時間24分遅れとなってしまった。
そういえばシャンペに到着する前にも道端で寝ていて、それもあったから遅れたのかも。
で、このシャンペは寝床のあるエイドで、ここでまた寝ようと考えていた。
眠気もあったけど、胃が気持ち悪く、食欲がなくなっていた。食べなきゃエネルギーが出ないのに。
眠気と胃が落ち着くことを願って仮眠室へ。もう完全にタイムは気にせず、完走目標に切り替えていた。

現在時刻は22時、ここのエイドの関門時間は翌日の2時30分。まだまだ余裕はある。
ちょうど一時間後の23時にアラームをセットして寝る。
ちなみに仮眠室のベッド(というかクッション)には毛布もある。
過去にもUTMFや上州武尊で仮眠をしたことがあるけど、どれも身体がほてっていたりでそこまで寝た!って感じにはなれなかった。
けど、今回のUTMBでは結構すぐに眠りに落ちた。

23時、アラームで目が覚める。
が、もうなんだか全てが面倒臭くなっていた。まだ眠い。
今度はアラームをかけずに寝た。このまま関門が来たら、それはそれ・・みたいなことを、この時は思っていたと思う(^^;)

24時ちょっと前、周りの音で目が覚める。
ちょっと寒い感じがしたけど、やばい寒さではない。毛布が有り難い。
旅立つのが億劫だったけど、とりあえず仮眠室から出ることにした。
エイドの場所に戻って、ご飯を食べる。しょっぱいスープ(笑)
フランスパンをスープにつけて食べるとまあまあ美味しい。

人だかりの中にヨシロウさんの姿を見つける。
声をかけると、
「おお、すっかり顔色良くなったじゃん!」
と言われる。
そうか、寝たから良くなったのかも。
タムマユさんは既に出発したらしい。まあそうだろうな、2時間近く寝ていたし(笑)
エイドのご飯、今度は吐かなかった。
コーヒーも飲む。
2014年のUTMF、約130km本栖湖エイドでの仮眠からの復活劇を思い出す。
あの時も仮眠して、起きた後、カップヌードル食べて、ホットコーヒーを飲んだ。
その後はマリオがスターを取ったような無敵状態になった、自分でも不思議なくらいに。

とりえあず、シャンペでの仮眠は功を奏したようだ。
そのまま風が悪化して発熱でダウン、そしてリタイアって展開も考えられたので、ラッキーって感じ。
ヨシロウさんに「行きます!」と伝えた。