北アルプス全縦走(新穂高温泉~親不知)1日目


2016年8月15日17時50分 親不知にて

北アルプス縦走を計画

2016年盆休み。どこか旅に出よう!
最初は東北の「みちのく潮風トレイル」を計画していました。
八戸スタートの普代村ゴールで。
が、宿の少なさにより、テント泊を余儀なくされることが判明。
やっぱり夜はお風呂に入ってぬくぬくとお布団に入って寝たいのです。
しかもゴールの普代村からは都内に帰ってくるのに7時間以上かかる。
これはちょっと条件が悪いか・・。

どうせテント泊するんだったら壮大な山の縦走旅をしよう!
そういえばアルプスって行ったことないな。
北アルプスには日本海まで続く「栂海新道」なるものがあるらしい。
北アルプスの山々を縦走して、ゴールに日本海を持ってくれば・・・この瞬間、心が動きました。
それからは面白いように計画が進み、早速バスを予約。
さて、どうなることやら・・・。

タイムスケジュール表

タイムスケジュール表は以下です。
コースタイムはYAMAPを参考にしました。
結果、一日の中で1時間~2時間程度の遅れや、多少のルート変更はあったものの、目的地が変更になることはなく、ほぼほぼ計画通りに進めたかと思います。


1日目(8/11):中尾高原口→笠ヶ岳→三俣山荘
2日目(8/12):三俣山荘→鷲羽岳→野口五郎岳→船窪小屋
3日目(8/13):船窪小屋→船窪出合→針ノ木岳→爺ヶ岳→冷池山荘
4日目(8/14):冷池山荘→鹿島槍ヶ岳→八峰キレット→五竜岳→不帰キレット→白馬岳頂上宿舎
5日目(8/15):白馬岳頂上宿舎→白馬岳→朝日岳→白鳥山→親不知

4泊5日で踏破する計画。
速さは普段のトレイルランニングよりも重い荷物を持つことや、初めての道を通ることを考慮してCT×55%で計画しました。
また、一日の行動時間は10時間程度とし、遅くとも16時にはその日の目的地である山小屋に到達するようにしました。
自分の中では4日目が核心部分。なぜなら八峰キレットと不帰キレットを通過するから。
3日目までに身体をならして、4日目に備える。そして5日目は残った体力を全て放出し、一気に日本海まで!という作戦です。

北アルプスを全縦走するにあたってのスタイル

上記のタイムスケジュール表でも示した通り、コースタイムの55%の速さで進む計画を立て、実際にもそれくらいで踏破しました。
一般的な山登りスタイルであれば、このコースを踏破するのには10日~2週間はかかると思います。
私はトレイルランナーです。荷物も無駄なものは削って7kg前後にしました。
スルーハイク?カモシカ山行?というスタイルになるのでしょうか。
ルールとまではいきませんが、自分の中で決めていたものは以下の点です。
----------------------------------------------
・夜は山荘に宿泊もしくはテント場で野営とする。
 行ける所まで行って、疲れた場所でビバーグということはしない。
 野営にはストックシェルターを使用。
・荷物からストーブ関連は省く。ご飯は積極的に山荘を利用する。
・遅くても16時までには山荘に到着するようにする。
・キレットなどの危険ポイントが自分のレベルでは走行不能だと思ったら下山もしくは迂回する(当然ですが)。
・百名山に拘りすぎない。
 百名山を踏むための寄り道は余裕が無い限りしない。
 あくまでも目的は日本海。
----------------------------------------------
もし同じように新穂高温泉から親不知までの縦走をやろうという方が、本ページを参考にして頂いているのであれば、この辺りを考慮の上で計画を立てて頂ければと思います。

GPSログ

不帰キレットの部分でGPSロガーのバッテリーが終わりました(ToT)(充電ケーブルを忘れた)
なんか不吉な部分で終わってますが、滑落したからではありません(笑)
ざっくり、、距離は120km、累積標高は10000mくらいだと思います。
コースタイムはYAMAPによると85.2時間。
山と高原の地図だともう少しありそうです(一部区間比較したら山と高原の地図の方がコースタイム長かったので)。

新宿西口バス乗り場へ


2016年8月10日。
仕事後、新宿駅西口へ。
バス乗り場は少々分かり辛い。
場所を確認した後、近くの「てんや」で晩御飯。天丼を注文。500円。
あと、コンビニで明日の朝食&昼飯を買い出し。おにぎりなど。
新穂高温泉には売店などなかったので、前日に買っておくと良いと思います。

再び駐車場へ。
ハイカーが続々と集まるその光景は独特。
なんだか漫画カイジのエスポワール船のよう。知らない人すみません(笑)。
バスは23時発予定でしたが、遅れてきた人がいた為、結局23時半に出発。
ちなみにバスは毎日アルペン号を利用。

1日目行程

新穂高温泉駅→中尾高原口→雷鳥岩→笠ヶ岳→抜戸岳→秩父平→大ノマ乗越→弓折岳→双六小屋→双六岳→三俣蓮華岳→三俣山荘
移動距離:約26km
行動時間:約9時間20分(5時50分~15時10分)
コースタイム:18時間25分=17時間45分 + 40分(新穂高温泉駅→中尾高原口のロード)
短縮率:50.7%
天気:晴れ

初日は登り区間。テクニカルな箇所も少なく、やはり登りが得意なのか、全日程中で一番良い短縮率となった。

新穂高温泉に到着


朝5時30分ごろ、ほぼ定刻通りにロープウェイ新穂高温泉駅に到着しました。
外に出ると肌寒く、トレントフライヤージャケットを羽織る。
バスは途中、談合坂などのSAで2回ほどトイレ休憩がありました。
やっぱり夜行バスは眠れたものではありません。4列シートだったし。
ちなみに、最初は上高地スタートを計画していたのですが、予約が一杯で取れませんでした。。
空いていたのがこの新穂高温泉行き。
上高地→穂高岳、槍ヶ岳ルートは危険な大キレットもあり渋滞しそうなので、むしろこっちで良かったかも。
穂高岳、槍ヶ岳の百名山は踏めないけど、代わりに笠ヶ岳という百名山を踏むことに。


笠ヶ岳を踏むには新穂高温泉駅より南にある「中尾高原口」より入山しなければなりません。
なので徒歩で中尾高原口を目指しました。
(毎日アルペン号には中尾高原口で降りるプランもあるが、予約していたのが新穂高温泉駅行きだった)
写真の通り、歩道が狭い区間があるので注意。

入山(中尾高原口)


中尾高原口に到着。
中尾高原口の標高は1100mです。
ここから目指す、笠ヶ岳が2897mなので、結構登りますね。

出発前にトイレに行きたい。
中尾高原口にはトイレがあったものの、鍵がかかっていました・・。
仕方なく登山口へ。
幸い、登山口近くに温泉施設があり、そちらでトイレを借りることが出来ました。
登山届を提出し、いざ、北アルプス全縦走の大冒険の始まり~!

渡渉(クリヤ谷)


しばらくしてハイカー3グループほどを追い越します。
笠ヶ岳を目指す方々でしょうか。

その先で渡渉エリア現る。
どうやっても「足ボチャン」となる様子。
いきなりの難所に戸惑います。
悩んだ挙句、裸足になって渡ることに。
「皇居裸足ランニング練習会」がこんなところで役に立つとは(^^;)
この時は「ヤレヤレ・・」なんて思っていましたが、3日目にこんなものとは比較にならないほどの渡渉を余儀なくされるとは・・。
足が濡れているので、しばらくは乾くまで裸足で進みました。

登り開始 藪こぎ


いよいよ本格的な登りが始まってきました。
天気が良く、暑くなってきました。
来ていたTシャツを脱いでノースリーブに着替える(これが後の悲惨な日焼けに繋がるとは知らず)。
そして藪が多くてかなり滅入りました。


ようやく尾根が見えてきました。


ほぼほぼ登りきる。標高は既に2000m以上。
心配していた高山病は今のところ大丈夫か。


この○印を頼りに進みます。


さっきまでの鬱陶しかった藪もなくなり、気分爽快。
雷鳥岩はどこか分からないうちに通過してしまったようです。


足場はガレガレ。足がとられて力が逃げてしまう感覚です。

笠ヶ岳


10時5分。
予定より1時間ほど早く笠ヶ岳に到着!標高2897m。
百名山です。


すぐ先に笠ヶ岳山荘が見えます。


笠ヶ岳山荘でおでんをいただきました。500円。


笠ヶ岳山荘の受付風景。
さて・・・先に進みます!
出発してすぐに山荘の人?に「行き先は?」と呼び止められる。
「双六山荘方面です。」と言うと「そっちの尾根は違うよ。そっちは熊に会えるかもしれない尾根だよ~」と教えてくれました。危なかった・・。
しかし、その山荘と思われる方、上半身裸で良い肉体なイケメン。なんかのCMに出てそうな・・。
山で生活している人間のオーラというのか、なんか独特だなーなんて思いながら双六山荘を目指す。


岩に「サヨナラ」と書かれています。ちょっと切ない。


尾根を進みます。


岩と岩の間を通り抜ける。
これは抜戸岩?


尾根。
この辺りは特にきつい登り下りがあるわけでもなく、難なく進めるポイントだと思います。
コースタイムも順調に縮めてきました。

双六山荘


ちょっと風景が変わる。


木道になり・・・。


奥の方に山荘が見えた!


13時27分。双六山荘に到着です。
ここは数日前にTJAR(トランスジャパンアルプスレース)の選手が通過した場所。
双六山荘の受付の女の子は評判通り?良い笑顔だったなー。


双六小屋から先、双六岳は巻いて三俣蓮華岳へ。

三俣山荘到着


ほどなくして本日の目的地である「三俣山荘」に到着。
まだ進める感覚はあるものの、初日は無理をしないのがセオリー。
テント場にストックシェルターを設営。
時刻は15時を過ぎるくらい。
テント場は既に一杯で場所の確保に苦労しました。

山荘とテント場は「平地で」徒歩5分くらい離れています。
この時は、「なんでこんなに離れているんだー」なんて嘆いていましたが、まだマシなほうでした(笑)
受付で幕営料1000円を支払い、ついでに夕食券も購入。2600円。

夕食の時間までには時間があったので、テント場に戻って荷物整理などする。
すると、なんだか寒い。気温が下がったのもあるけども、なんだか嫌な寒さ。そしてくしゃみが止まらない。
それに吐き気、軽い頭痛も。
まさか・・・。
これはダメだとストックシェルターに潜り込み、横になって休みました。
なんだか息苦しいし・・(これは後にシェルター内の酸欠状態と判明)

三俣山荘夕食(ジビエシチュー)

夕食の時間になり、再び山荘へ。食堂は2階。
やっぱり寒い・・。考えたくないけど風邪ひいたか?最悪は熱。こんな序盤で終わりたくない!


晩飯はジビエシチュー。鹿の肉だとか。
スパイスが効いており、臭みは全くなく美味。

相席になった方たちにご飯をよそって頂く。代わりにと自分はお湯(!?)を淹れたり。
頂きます!と暖かいご飯を食べていると、なんだか分かりませんが涙が出そうになりました。
良く分かりません。涙をこらえるのに必死です。
やっぱり初のアルプスで一人不安だったし、寒さの中でほっと一息、暖かいご飯にありつけたからでしょうか。
初対面同士なのに思いやりを感じたからでしょうか。
とにかく身体が暖まりました。

そして俺が淹れた「お湯」は急須用のお湯でした。
急須にはしっかりとお茶っぱが・・。
失礼しました!
周りの人は「これは間違えるよね~(^^)」と苦笑い・・。
ヤレヤレだぜ。


食堂からは穂高、槍ヶ岳が見えます。
良い眺め。


食堂の風景。
暖かい「お茶」を数杯飲んでくつろぎました。
食べて身体が暖まり、少し回復した感覚。良かった。


山荘の外。
さて、これで初日は終わりです!
初日は計画通りに進めました。
渡渉や藪こぎもあり、身体は既に疲労気味。
寒気があり、明日起きたら熱がある、なんてパターンも考えられる状況。
元気になっていても、こんな辛いのがあと4日も続くのかとブルーにもなり。
が、長旅においてそれは「あるある」です。
あまり気にしないでさっさと寝ることにしました。
しかし、ストックシェルター、初でしたが、、割と快適~♪