2014UTMF完走記④A9麓~ゴール

A9 麓(123.3km)

到着:19時6分
区間距離:18.9km
区間タイム:7時間17分(予定:8時間0分)-43分
累計距離:123.3km
累計タイム:28時間6分(予定:28時間54分)-48分
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麓に到着。
ここまでの累計タイムは28時間06分。
A8~A9区間を予定8時間のところ7時間17分で走りました。
これは仮眠を入れた数字です。
トータル予定は28時間54分のところを28時間6分!
ついに予定より速くなりました。

麓はなんだかドームの中といった独特の雰囲気のエイドステーション。
また、サポーターは中には入れないように仕切りがあります。
ちょうど周りからサポーターが中の選手を見ている形になっていて、なんか恥ずかしいです。
椅子に腰かけ、うろうろしていると「うさかめくん!」と呼ぶ声が。
KノリさんとDンナさんでした。
二人も小鳥飲み会の人。
応援に駆けつけてくれたみたいです。嬉しいですね。
天子山塊、特に雪見岳のダメージがでかく、意識がちょっと朦朧としており、この二人が親に思えてきました。
聞くと、KさんI藤さんK納さんは既に出発したらしい。
でも西富士からここまでのスピードはうさかめくんの方が速かったから追いつけるよ!と情報を頂きました。
ランナーズアップデートで調べてくれたのですかね。ありがとうございます。

エイドに味噌汁があったので迷わず飲みました。
「やっぱり!山の上で味噌汁の匂いがしたんですよ!!!」と言いました。
変な人と思われたに違いありません。
味噌汁は3杯ほど頂きました。
ちなみにコップは100均のシリコンコップ。結構活躍しました。
すると僕を呼ぶ声が。去年のUTMFで出会ったサブスリーランナーのI田くんでした。
彼は今回STYとして参戦。
天子辛かったねーなどと会話。
その後、準備を済ませて次に進みます。が、なんか元気がない。

麓エイド出発

麓を出るころには辺りは真っ暗になっていました。
小鳥の仲間に別れを告げて出発。
トイレに寄っておこうと出口付近にあるトイレに入ります。
しかし電気がつかない?てかもう電気のスイッチがあったとしてもそれを探すのが面倒臭い・・。
なぜかレース中は細かいことが面倒臭くなってしまいます。
お腹のライトでトイレ内を照らして用をたします。
そしていざ出発!

竜ヶ岳へ

出発してしばらくすると広い砂利道みたいな所に出ました。
行き先が不明瞭で、近くの選手数人とこっちかな?あっちかな?と探りながら進みます。
どうやらロストせずに進めたようです。
そしていよいよ竜ヶ岳への登りが始まります。
最初は砂利道だったのが次第にトレイルに変わってゆきます。
麓を出た時もちょっと眠かったですが、この辺りから一気に眠気がやってきました。
暗くなると眠くなるのですね。

「うさかめくーん」と僕を呼ぶ声。みると先ほど麓で会ったI田くんでした。
元気よく抜かしてゆきます。さすがサブスリーランナーは違います。
頑張ってー!と声をかけ、知り合いが頑張っている姿を見て眠気が少しやわらぎ、元気が出ました。

竜ヶ岳登り開始

ふと周りを見渡すと、なんとなく活き活きしている選手と、フラフラしている選手がいるのが分かります。
その「フラフラ」している選手に「UTMFですか?」と聞くと「はいそうです・・」と頼りない返事。
眠気を吹き飛ばそうと、周りにいるUTMF選手に話しかけたのですが、いかんせん眠くて喋るのも億劫でした。
なので会話も続かずゾンビのようにふらふらと登り続けます。
つづら折りの登りの為、同じような景色が続きます。
これがたまらなく眠気を誘いました。
ふと上を見るとはるか上の方に選手のライトが・・・。
あそこまで登るのか。。
そしてついに眠気がMAX

ご飯もあまり食べれてないからか元気が無い感じ。
進むのを止め、道を外れてコース途中に体育座りして目を瞑りました。
「大丈夫ですか!!?」と声をかけてくれる方がいます。
嬉しいですね。
「眠いだけなので大丈夫です!」と返答します。
2013年、UTMFのボランティアでレース終盤の河口湖林道に立たされた時、そこを通る選手が「ちょっと寝る」と言いだして、道端に横になったのを覚えています。
気温は氷点下。その時は彼の行動がちょっと理解できなかったですが、今まさに自分がそれに近いことをやっているんだと思うと面白くなってきます。

5分ほどして立ち上がり、登ります。
そして5分後、再び眠気MAX!!
そしてまた体育座り(大阪では三角座りともいう)。
ああ、これはヤバい。これじゃ全然進まない。こんなに眠気がきついとは。
ザック中には眠気覚ましのCLIFジェルがありましたが、今はジェルを飲むと吐き気がする感じ。
この時は胃の気持ち悪さが復活し、水もろくに飲めない状態でした。
お腹のカイロを体に密着させてさすると若干良くなる感じです。


22:37 謎の写真
ああ、眠い。俺はいま何しているんだろう。何もかもが良く分からなくなってきた。
なんでこんなレースにエントリーした?
ウルトラなんてするもんじゃない!やっぱり俺はロングなんてむいていない!
とりあえず眠いからここで寝ようか?
でも他の皆はがんばっているんだろうなぁー。皆すごいよなぁー。俺はなんて弱い・・。
あかん、やる気がなくなってきている。
これが100マイル完走に必要な精神力ってやつか・・。
今、必要なのは強い意志!
ここで意思の強い人はきっと一つ一つ現状の問題を解決すべく行動を起こす。
でも今の自分にはただただゾンビのように登り続けることしかできませんでした。
この区間は一番辛かったです。
上を見ると遥か彼方にヘッドライトの明かりが。まだあんなに登るのか・・。
が、良く見ると星で一安心。

端足峠

しばらくすると上から元気な人の声。
あれはきっと端足峠にいるスタッフだなと分かりました。
やはりそこは端足峠ポイントで、スタッフが一名いました。
「ちょっと座っていいですか?」と言い、また体育座りして休憩。
しばらくすると少し眠気もやわらぎ、再び竜ヶ岳への歩を進めます。
勾配が緩くなり、若干走れるようになってきて、眠気が少しマシになりました。

竜ヶ岳山頂

そしてついに山頂!
広場みたいなところにテーブルと椅子があります。
周りには藪みたいなのが多く生えています。
椅子に座り、テーブルに顔を伏せて寝ます。
ふと気が付けば周りにも同じように寝ている選手がいました。
ああ、なんか人って温かい
話によるとここからはつづら折りの下りで走れるそうな。
マップでは結構急な下りだったのでそれは良い情報。

本栖湖エイドへ

テーブルを後にし先に進むと、藪が両脇に立ちならぶ道になります。
「あ、ここ、UTMFのDVDで見たことある所や!
今は夜だったので、様子は違いましたが、確信しました。
ここはDVDのシーンでも何故か印象に残っていて、好きなところだったのです。
いやー今自分はUTMFを走っているんだな!

先ほどの情報は確からしく、つづら折りのまぁまぁ走れる下りとなりました。
しばらく下ると「ここで下り終わりだよー」との声。赤い光のスタッフ数名。
そして湖も見えます。これが本栖湖か。
そこからは若干勾配のあるロードを数キロ走りました。
眠気、そして吐き気があった為、本栖湖では寝ようと思いました。

A10 本栖湖(138.6km)

到着:23時44分
区間距離:15.3km
区間タイム:4時間38分(予定:4時間12分)+26分
累計距離:138.6km
累計タイム:32時間44分(予定:33時間6分)-22分
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23:44 本栖湖エイドに到着。
ここまでの累計タイムは32時間44分。
この区間は予定で4時間12分でしたが、4時間38分かかってしまいました。
やはり眠気でスピードが落ちたようです。
トータルでは予定33時間6分のところを32時間48分。まだ貯金はあります。

本栖湖の建物内は結構な人だかり
そんな中「おーうさかめ来たか!」との声。
小鳥チームのS田さんでした。やはり知り合いがいるのは嬉しいです。
コーラを数杯頂きます。
「眠いのでここで仮眠していきます!あ、ご飯を少し食べた後に。」
名物らしい饅頭を食べて仮眠部屋へと向かいます。

その途中でまたまた声をかけられました。
「あれ、信越の時のペーサー待機中に会いませんでした?」
ああ、信越五岳ペーサーで出会った方でした。
「UTMF出てたんですね。」「ここまでこれたなんてすごい。」「仮眠?ちょっとみてきますよ!」「あれワラーチじゃない?」と色々声をかけてくれました。
その方は名前など聞いてなかったので、これをもし見て「あ、俺だ」って思ったならご連絡ください。あの時はありがとうございました。

仮眠@本栖湖エイド(仮眠3回目)

仮眠部屋に行くと、案の定、毛布が無い。
スペースはあったので、仕方なくエマージェンシーシートにくるまって横になりました。
アラームは0:20にセット。
おやすみなさい。

結局、アラームは鳴ったのか鳴ってないのかよくわからないまま20分くらいが経過してました。
起きて身の回りを整理して立ち上がります。
体がベトベトするのが気持ち悪く、トイレに行きます。
タオルを水でぬらして体をふきます。ああ、さっぱり!
良く見るとシャワーもある?でもそこまでくつろぐのはやめておきました。
痛い!雪見岳の下りで打った右ひじは結構傷ついていたらしく血が固まってました。
これは勲章になるな・・。

カップ麺購入@本栖湖エイド

カップ麺
エイドに戻り、ウロウロしているとS田さんは担当を外れたのか見当たらない。
それにしてもカップ麺を食ってる選手が多い!!なんでそんな準備がいいんだ?
ふと奥の方を見ると売店があり、その中に「カップ麺250円」の文字がっ・・・・!!!!!
うお!キタ!!そういうことか!
お金?あるある、緊急時の為に6000円!
カップヌードル醤油味を購入し、お湯を貰って近くの椅子に座ります。
ああ、これが幸せっていうんだな。とても良い香りがします。

iPhone紛失事件@本栖湖エイド

あーこの幸せの瞬間を未来に残そう!ということでiPhone5cを探すも、見当たらない。
ザックの中、ポケットの中、胸ポケットの中、サイドポケットも!!
まじか。。
あるとすれば、そう、仮眠部屋。
丁度今、僕には3分時間があるので、異様な臭いのする仮眠部屋に戻って選手が横たわる中を探します。
が、ない!!
もしかして必携品不備により失格????
とても嫌な感じになってきました。

とりあえずラーメンが気になるので椅子に戻ります。
するとカップヌードル例外なくとても美味しそうに出来あがってました。
携帯電話は気になりますが、とりあえずズズズッと・・・。
ウウん!!うまい!!!!これが探し求めていた味!!
胃の調子は悪くジェルは受付けない感じでしたが、ラーメンはガンガンいけました
全ての食べ物がダメになるわけではないんですかね。不思議です。
しかし、携帯がない
本来ならこのラーメンの幸せを100%噛みしめている所ですが、なんとなく60%くらいしか喜べない。
スタッフに落し物を聞くも、ない。

仕方なくもう一度仮眠部屋へ。
すると自分が寝ていた所ではなく、靴置き場の近くに携帯が落ちていました!
良かった。これでレースを続行できる。
椅子に戻って100%の幸せの中、ラーメンの残りを食べつくします。
熱くて口の中がやけどしましたが、それもOK!

なんかみるみる元気が湧いてきました。
全ての迷いが無くなり、前に向かっていける、そんな感じです。
このあたりで完走を確信してました。
眠気もマシになってます。けど「油断は禁物」と、出る際にコーヒーを頂きました。
建物内は人が多かったので、エイドを出てゆっくり飲むことにしました。
ズズズ・・と外の冷気の中、コーヒーを味わいます。

鳴沢氷穴エイドへ向け再スタート

本栖湖エイドには結局1時間35分ほど滞在。携帯を探してたのもあり、ちょっと長居・・。
コーヒーを飲み終え、トレイルに入ると最初はシングルトラックの登り。
シングルトラックに入ると前にも数人選手がいるため、自分のスピードでは進むことが出来ませんでした。
無理をせず、道が開けるのをゆっくり待とう・・・。
そして体にはなんだか確かなパワーを感じます。
なんというかドラゴンボールで孫悟空が元気玉を集めて、そのままスーパーサイヤ人になり、その元気玉を体内に取り込んだ時のような。
はたまたスーパーマリオブラザーズではスターを取ったような無敵感。

覚醒状態へ

時来る
きた!!道が開いた!
その瞬間、飛び出して走り出します。
もう誰にもとめられない。
体が軽い。
何でこんなに体が軽いのか分からない。
ここまで130km以上走っているのになんだこの軽さ!自分でもびっくりです。
カップラーメンの力なのか!?
VIVA日清!カップヌードル!!
その先にはシングルトラックがあったのですが、道を譲ってくれる選手が多く、突き進むことができました。

おもしろい!!!!
根っこがあるけど、それをテクニカルに走ってゆくのが面白い!
登りがあるけど関係なくガンガン走れる!
暑い!
ついには半袖短パンになります。
竜ヶ岳のゾンビは覚醒していました。
これが100マイルレースでの復活ってやつなんでしょうか?
UTMFレース前に想像していた展開とは全く逆の展開。
レース前は終盤はヘトヘトだと思っていました。

トレイル区間終わり


ちょっと渋滞。
あ、ハンドライトの電池が切れた?
なんか押しても電気が一瞬で切れてしまいます。
仕方なく、お腹のライトのみで進みます。
照明とスピードはかなり関係しているようで、光が減ってからはスピードが落ちました。
その後、中ノ槍山、パノラマ台、烏帽子岳のピークを越えてトレイルを下るとスタッフがいました。
「ここで峠終わりでーす
ということはココからは平坦な道?
鳴沢氷穴まで何キロだろう??

樹海

しばらくはロード横のトレイル区間を走ります。
ここは小さなアップダウンがありましたが、急勾配ではなく走れる感じです。
ここが樹海?
あと、ここに来てから急激に寒くなりました。
先ほど暑くなり半袖で短パンになりましたが、さすがに寒く立ち止まって上にトレントフライヤーを羽織りました。
再スタート。
走る走る!
でもさすがに途中で疲れて歩いたり。でもまだ走れる!
しばらくすると夜が明けてきてロードに出ました。

鬼ロード

大きな橋のような長い登りのロード。
遠く前を行く選手も見えます。
このロードに来てからも覚醒モードは続いていたので、登りだろうが関係なく走り続けました。
ほとんどの人は歩いていましたが、中には同じように走っている選手もいます。
途中、ずっと後ろに気配を感じ、走ってついてきている選手がいるようです。
普段なら道を譲ってたかもしれんせんが、今は覚醒、ついてこれるもんならついてこい!くらいの勢いで走り続けました。
人って変われるんですね・・。

結構走った!そろそろ鳴沢氷穴かな?
道が曲がってその先が見えなくなっています。あの角を曲がれば?
曲がりくねったその先は・・・
また同じひたすら登りのローーードっ・・・!!!クっ・・・!屈辱的!
そしてそこをゾンビのように歩く選手数人。
やばい・・・いつまでこの覚醒状態が続くかも分からないし・・。切れたら俺も再びゾンビ・・。
それでもなお走り続けます。このロードを逆に歩いていくと精神がやられてしまいそうです。それくらい長かったです。
気が付くと後ろの選手はいなくなってました。
この区間は8.5kmほどあったようです。通りで長かったわけです。

鳴沢市

ようやく道に変化が見え、「鳴沢市」の看板が見えました。
ここを曲がればエイドだ!!
と思って曲がると「鳴沢氷穴まで300m」と共に現れた登りロード。
たかが300mかもしれませんが、もう嫌になりました。
鳴沢氷穴手前で「あ、うさかめくん」と言う声がしました。
みると小鳥メンバーの一人、I藤さんでした。
3人一緒と思っていたのですが、どうやらバラけたみたいです。
I藤さんは眠いらしく、鳴沢氷穴で1時間ほど寝ていくとのこと。

A11 鳴沢氷穴(157.6km)

到着:5時10分
区間距離:19.0km
区間タイム:5時間26分(予定:5時間30分)-4分
累計距離:157.6km
累計タイム:38時間10分(予定:38時間36分)-26分
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ようやく鳴沢氷穴に到着。
A10~A11までは予定5時間30分のところを5時間26分できました。
これは本栖湖での仮眠を入れてのタイムなので、やはり良いペースで来れました。
トータルでは予定38時間48分を38時間10分といったところです。
色々ありましたが、結局は予定タイムとそう変わりません。
しかし今は体調は抜群によく、この先のタイムは良くなりそうです。

エイドには小鳥の55さんがいると聞いていたのですが、時間帯が違ったのかいませんでした。残念。
椅子にT春さんが座ってました。もっと先を行っていると思っていたので意外。
あと、スタッフの中に先日の大山登山応援トレランで一緒になった方がいました。
聞くとT村さんは数時間前にここを通過したとか。早い!
Kさんは?と聞くと、Kさんのことは知らないらしく、もうゴールしてるかもしれないとのこと。
寒い!ここ鳴沢氷穴はこれまでのどのエイドよりも寒かったです。
毛布にくるまり、ストーブに当たります。

次の道は?
見ると気持ちよさそうなトレイルが見えます。
あと11km・・。ついに来たんだ。UTMF完走
本栖湖から続いている覚醒はまだ残っている感じです。
よし、一気にかたずけてやる!と、T春さんに先に行くと告げ、そのトレイルに入りました。

ボーナスステージ 休日のお散歩トレラン


5:52撮影。
鳴沢氷穴の後はとても気持ちの良いトレイル区間。
高低差マップによると、もうこれまでのようなキツイ登り下りはないみたい。
そこからは選手もまばら。木漏れ日がとても心地良い。

ああ、ようやくUTMFが終わる。UTMFが終わってしまう。あれだけ不安だったUTMFを完走することが出来る。
そんな安堵感と木漏れ日があいまって、なんだか休日にのんびり近所のトレイルを散歩しているかのような気分になりました。
そういえばゴール後は写真とられるのかな?
だったらこのアロハ短パンでいきたいな!着替えよう!
てことで、立ち止まって再び半袖短パン、カーフガードもわずらわしいので脱ぎました。
ちょっと寒いけどもう大丈夫だろう!


6:01撮影。富士山。


6:25撮影。
写真を撮る余裕も出てきました。
気持ちいいーなぁー。
これはここまで頑張ってきた選手へのボーナスステージ
体も有り難いことにまだ軽いです。
頑張ってー!ふと横を見るとパンダ?の衣装を着た人が応援してくれています。

ラスボス現る

その後も順調にゴールへの距離を縮めます。
河口湖も見えてきました。
下りに差し掛かった辺りで、前のほうにピンク色の服が見えます。
これまでも何度かピンク色の服をみかけ、その度にKさんに追いついたか?と思いましたが、全部違いました。
また「ニセ」なんだろうと思うも、近づくにつれそれは本物と確信します。
まさか追いつくとは・・。よし!これは勝負だっ・・・!!
追いつき声をかけます。
向こうも少しびっくりした感じで「え?ヤバイ!」と言いスピードを上げます。
そして近くにいた人に残りの距離を聞くと「あと5kmくらいだよ!!」と。
こんな最後の最後にスピードレースになるとは。。
Kさんもスピード上げるってことはまだ残ってるなぁ!
でもこっちもアドレナリン全快の覚醒状態!
Kさんはロードが得意なので、トレイルでどこまで離せるかが勝負!
これまで慎重に下っていた下りもガンガン飛ばします。

フィニッシュ!


6:58 いよいよトレイルが終わり、湖畔に出ました。
ここからはロード。
のこり3km?
Kさんは?
自分はロードが苦手ですが、それでも芝生とかあったので、その上を走って少しでもスピードを上げます。
ハァハァ・・。
まさかラストにこんな全力疾走するとは。
でもあのお喋りKさんに負けたらなんて言われるかわかったもんじゃない!

河口湖では平和にバスフィッシングを楽しんでいる人がいます。
向こうからしたら、まさか俺がここまで160km以上も走ってきたなんて思わないでしょう。
あ、バスがはねた!釣りたい・・。
まだ八木崎公園は見えません。
一度、建物の横を通る為、階段を登りました。
そこからもまた湖畔沿いの道。
道行く人が「おかえりーー!」といって声援をくれます。
しかし、こっちはKさんがいつ来るやもしれぬ状態で余裕がない・・。
後ろを振り返ると、それらしき人物はいない。
あ、八木崎公園が見えた!
うおおおおおおお!!!!!帰ってきた!!!


一年前、UTMFボランティア業務後に、この八木崎公園で次々とフィニッシュするUTMF選手を見ながら「いつかは俺も!」と思っていたのを思い出します。
はたまた、八ヶ岳100マイルではリタイアした後、ゴール地点まで搬送され、悔しい思いでフィニッシュする選手を眺めていました。

今、俺はその見られている側?なんだか信じられません。
長かった・・。レースは想像以上に辛かった。
けど、なんというかベタな言い回しですが、一人じゃ決してここまで来れなかったと思います。
このレース中にもいろんな人に助けられ、レース前にも皆で練習&情報共有してきました。
日常の辛さもUTMFがあるから我慢でき、それを力に変えることが出来きました。
そして今、それらが全て報われようとしています。

ゴーーーーーーーーーール!!!!!!!!!!!

「うさかめ選手 記録 40時間17分39秒」
決して速くはありませんが、完走は完走です。
ゴールゲートの先にはUTMF実行委員長である鏑木さんがいました。
涙の中、鏑木さんが温かくゴールを迎えてくれ、熱く抱擁を交わしました。

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到着:7時17分
区間距離:11.4km
区間タイム:2時間7分(予定:3時間0分)-53分
累計距離:169.0km
累計タイム:40時間17分(予定:41時間36分)-1時間19分

レース後

レース後はチップを外され、フィニッシャーズベストとUTWT(ウルトラトレイルワールドツアー)の証明書をもらいました。
そのままコーラを貰って一息。
くーー!

Kノリさんがいました。ゴールに駆けつけてくれたようです。
うろうろしていると、「すみません、DVD作成用の写真を撮らせてほしいのですが。」とスタッフ?に声をかけられました。
カウントダウンをするので大きなアクションを取ってくださいというので、良く分からずしゃがんでピース!

その後、デポ荷物、ゴール荷物を受け取ります。
意識がもうろうとして、お腹が空いています。
とりあえずプロテインを・・・。
そういえばプロテインはレース中から積極的に飲んでいたのですが、レース中でも効果があったかもしれません。
これも覚醒の要因?

足の指


それにしても足の指が痛い。
ホカオネを脱ぎ、ワラーチに履き替えます。
爪が死にました。自分で見るのも辛いです。
(その後、足の爪は7枚綺麗に剥がれました・・・)

吉田うどんを食べる

しばらくするとT村さん、Kさんも合流。
T村さんは38時間台でゴールしており、すっかりさわやかになってます。
そして本栖湖エイドのS田さんも合流。
少し荷物整理して皆で会場のご飯を食べに行きました。


吉田うどん500円。
何を思ったのか唐辛子をめいいっぱい入れてしまい食べるのに一苦労。
あり得ないくらい辛いです。口が痛い。

そして寝る


そして寝る。
限りなく永眠に近い眠り。

帰路へ

その後は他の選手や小鳥チームの人が続々と集まって、ワイワイとレースを振り返ります。
なんと小鳥チームは全員完走!すばらしい!
後で知ったのですが、完走率は59.7%。
皆、頑張りました。
そしてその後、オフィシャルバスで新宿に向かいました。
渋滞もなく1時間くらい?爆睡でした。

打ち上げ

新宿のカッパという居酒屋でUTMF打ち上げ!!
久しぶりに食べるまともなご飯。
皆口をそろえるのが「味覚がおかしい」ということ。
100マイルのあとはこうなるんでしょうか?
あージェルなんてもういらない!やっぱりご飯がおいしい!

打ち上げは2時間ほどで終了し、その足で新宿駅へと向かいます。
ワラーチだったので、足を踏まれないかヒヤヒヤ。
山ノ手線、京浜東北線に乗り、無事帰宅。
そしてここから洗濯祭りが始まります。
一人暮らしは辛いですね、こういう時。まあこれも含めてウルトラトレイル。全ては自分で。
しかし、ここで幻覚を見そうになるとは思いませんでした・・・。

鏑木さんに言われたこと

そういえば記憶のかすかに残る言葉あります。
それはフニッシュゲートをくぐった後、鏑木さんに言われた言葉。
それは・・
「ここにまた帰ってくることが大事だからね」
確かこんなことを言われました。
その時は「え、また走るの?」と思いましたが、今落ち着いて考えてみるとなんとなくわかってきた気がします。
よし、またいつかUTMFに参戦するぞ!!

2014UTMF完走記 おわり